
ダイヤモンドは、ただ美しいだけの宝石ではなく、驚くような性質や歴史に刻まれた数々の逸話が隠されています。本記事では、そんなダイヤモンドにまつわる興味深い雑学をご紹介します。みなさんはいくつご存じですか?
以前にご紹介した「ダイヤモンドの雑学10選」に続く第2弾として、今回はカラーダイヤモンドの知識も含めてより奥深いダイヤモンドの世界へご案内します。
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世界一高価なダイヤモンドの色は?
引用:GIA レッド ダイヤモンド – 最も希少なダイヤモンド
カラーダイヤモンドは宝石の中でも非常に希少価値の高いものですが、その中でも特に貴重で、1カラットあたりの価格が高いのが「レッドダイヤモンド」です。レッドダイヤモンドは形成過程が特殊なため、世界に数十個しか存在しないと言われています。
レッドダイヤモンドのカラーグレードは、純粋な赤色の「ファンシーレッド(Fancy Red)」、紫がかった「ファンシーパープリッシュレッド(Fancy Purplish Red)」、 オレンジがかった「ファンシーオレンジレッド(Fancy Orangy Red)」に分類され、ファンシーレッドに近いほど価値が高くなります。
レッドダイヤモンドの希少価値を全世界に知らしめた「ハンコック・レッド」と呼ばれる0.95カラットのレッドダイヤモンドがあります。このレッドダイヤモンドは、1987年のオークションで880,000ドル(当時のレートで約1億3,000万円)で落札されました。この価格は1カラットあたりの単価が当時のオークション史上最高額であり、また、予想落札価格の8倍もの値が付いたことで話題になりました。
ちなみに、それまでの最高額は1987年のオークションに出品されたピンクダイヤモンドで、1 カラットあたりの価格が127,000ドル(約2,879万円)でした。それからたったの7年で ハンコック・レッドが記録を更新し、しかもその差額は1カラットあたり799,315ドル(約1億1,600万円)ですから、ハンコック・レッドが伝説となっている理由が分かるかと思います。
ハリー・ウィンストンが寄贈した大量のカラーダイヤモンド
引用:National Jeweler – Harry Winston’s Son Donates Fancy Red Diamond to the Smithsonian
呪いの宝石としても知られる世界最大のブルーダイヤモンド「ホープダイヤモンド」は、1958年にハイジュエリーブランド「ハリー・ウィンストン」によりスミソニアン国立自然史博物館へ寄贈されました。推定価格は200〜300億円とされ、現在は同館内の「ハリー・ウィンストン・ギャラリー」で無料で一般公開されています。
ホープ・ダイヤモンドの寄贈から67年後の2025年、今度はハリー・ウィンストンの息子ロナルド・ウィンストンによって、なんと計40個ものカラーダイヤモンドが新たに寄贈されました。寄贈されたのは、前章で「世界一高価なダイヤモンド」としてご紹介したレッドダイヤモンドをはじめ、ピンクダイヤモンド、イエローダイヤモンド、ブルーダイヤモンドなど、色彩に富んだ天然のダイヤモンドたちです。
レッドダイヤモンドは最も価値が高いグレードの「ファンシーレッド(Fancy Red)」で、サイズは2.33カラットにも及びます。先ほどご紹介した「ハンコック・レッド」が0.95カラットなので、それよりも大きいサイズとなると、いったいいくらの価値になるのか想像も及びません。(寄贈されたコレクションの価格は発表されていません。)
ダイヤモンドは2025年4月1日から一般公開されるそうです。
階級によって着けていいカラーダイヤモンドの色が決まっていた
6世紀のインドでは、ダイヤモンドが「階級を見定めるしるし」の役割を果たしていました。身分制度(カースト)によって所有、着用することが許されるダイヤモンドの色が決められていたのです。具体的には、次のような決まりがあったと言われています。
- 王:どのカラーのダイヤモンドでも身につけることが許される
- 司祭・統治者・バラモン(最上階級):カラーレスダイヤモンド
- 地主・戦士:ブラウンダイヤモンド
- 商人:イエローダイヤモンド
- 下層階級:グレー、またはブラックダイヤモンド
このように、ダイヤモンドの色は階級を示す象徴とされていました。現在ではこの決まりは無くなり、どの色であっても所有することができます。なお、このシステムは世界初のダイヤモンドのカラーグレーディングといわれています。
青色のダイヤモンドだけが電気を通す
引用:GIA ブルーダイヤモンドのユニークな起源、研究者により明らかになる
本来、ダイヤモンドは電気を通さない「絶縁体」の性質を持っています。しかし、ホウ素(ボロン)を含む「ブルーダイヤモンド」だけは例外で、電気を通すことができます。ダイヤモンドは「1型」と「2型」に分類され、さらに「a型」「b型」に分けられます。ブルーダイヤモンドは「2b型」に分類され、ダイヤモンド全体のわずか0.01%ほどしか存在しない非常に希少なものです。この「2b型」は半導体性質を持つため、電気を通す特殊な性質があります。
さらにブルーダイヤモンドは、ほかのダイヤモンドにはない特徴として「燐光(りんこう)」を発します。これは暗闇でもしばらく自ら光る現象で、ブルーダイヤモンドならではの性質と言えるでしょう。
ダイヤモンドの価値は人が作った
「ダイヤモンドは永遠の輝き」これは1947年にダイヤモンド業界最大手のデビアス社が生み出した、人類史上最も成功したと言われるキャッチコピーです。デビアス社は1888年の設立以来、ダイヤモンドの流通量や価格をコントロールしてきた企業です。このキャッチコピーは、ダイヤモンドの普遍的な輝きに「永遠」「愛」「結婚」といったイメージを結びつけ、それまで一部の上流階級の人々のものでしかなかったダイヤモンドを庶民に広めました。
また、ネーミングによってイメージを変えた例もあります。ブラウンダイヤモンドは、1980年代にアーガイル鉱山で豊富に産出され始めるまで工業用として扱われていました。そのブラウンダイヤに「コニャック」「シャンパン」「チョコレート」など、親しみやすくキャッチーな名前を付けて売り出したところ、ジュエリーとして人気が出るようになったのです。このように、「ダイヤモンドの価値は人によって築き上げられた」と言えます。
ダイヤモンドより硬い鉱物がある
「地球上で最も硬い鉱物は?」と聞かれると、多くの人が「ダイヤモンド」と答えるでしょう。たしかに、一般的にはそのように言われています。しかし、実はダイヤモンドよりも硬い鉱物が存在します。それが「ロンズデーライト」です。ロンズデーライトは、ダイヤモンドと同じく炭素原子でできていますが、炭素の並び方が異なるため、ダイヤモンドよりも58%硬いとされています。この珍しい鉱物は、隕石が衝突した際の極限環境で生成されます。ロンズデーライトが初めて発見されたのは1967年、アメリカ・アリゾナ州に落下したキャニオンティアブロ隕石の中から見つかりました。
ダイヤモンドは音を伝える
ダイヤモンドは音を素早く伝え耐摩耗性に優れているので、レコード針の先端にも使われている。
ダイヤモンドは、音を伝える力がとても優れた物質です。音がダイヤモンドの中を進む速さは、空気中の約36倍にもなると言われています。音は振動によって発生し、物質を介して伝わります。硬い物質ほど音が速く伝わるため、ダイヤモンドの音速はトップクラスです。その速さは秒速1万メートル以上とされています。ダイヤモンドの音速の速さを活かし、科学実験や高精度センサー、レコード針にも利用されています。
世界最古のダイヤモンド
出典:Wikipedia By aiva. – This file has been extracted from another file, CC BY 2.0, Link
発見されている世界最古のダイヤモンドは、約32億年前に誕生したとされています。地球の年齢が約45億年と考えられているので、地球の歴史の4分の3もの長い間、ダイヤモンドは存在し続けてきたことになりますね。
歴史上「世界最古のダイヤモンド」と呼ばれる宝石は「コ・イ・ヌール・ダイヤモンド」です。1526年、インドのムガル帝国の創始者バーブルが著した自伝「バーブル回想録」にもその名が記されています。記録に残る最初の持ち主は、インド・デリーの支配者アラー・ウッディーン・ハルジーとされており、彼が1304年、南インドを征服した際に手に入れたと伝わっています。当初は約187カラットもの大きさがありましたが、争いの中で削られ、105.6カラットにリカットされました。現在、このダイヤモンドはイギリス・ロンドン塔の王室宝飾品展示室で一般公開されています。
ダイヤモンドは「地球最古のタイムカプセル」
引用:GIA 微小インクルージョンによりダイヤモンドの年齢と地球の歴史が明らかに
ダイヤモンドが形成される過程で、周囲の鉱物が内部に閉じ込められることがあります。こうして取り込まれた鉱物は「インクルージョン(内包物)」と呼ばれ、ダイヤモンドとともに地表へ運ばれます。インクルージョンはダイヤモンドの評価を下げる要因にもなりますが、科学者にとっては貴重な存在です。なぜなら、数十億年前の鉱物や微量の水分が閉じ込められていることがあり、地球誕生の謎を解き明かす手がかりになるからです。
ほとんどの天然ダイヤモンドは地下約200キロまでの深さで生成すると言われていますが、ブラジルで産出したダイヤモンドは地底2900キロにしか存在しないはずの内包物を含んでおり、深さ400 kmを超える超深部でも、ごく稀にダイヤモンドが生成することが分かってきました。このことから「ダイヤモンドは地球最古のタイムカプセルである」と言えるでしょう。
日本でもダイヤモンドは採れる
日本では「ダイヤモンドは採れない」と考えられてきましたが、実は、ごく微量ながら天然ダイヤモンドが発見されています。日本で初めてダイヤモンドが確認されたのは2007年、場所は愛媛県四国中央市で、四国山地の火山岩の中から見つかりました。発見されたダイヤモンドの大きさは、わずか1ミクロン(1/1000ミリ)ほどで、肉眼では見えず、顕微鏡でしか確認できないサイズです。火山岩内の二酸化炭素の流体包有物を調べている最中に発見されたそうです。
ダイヤモンドはアフリカ、ロシア、カナダなどの古い地質で産出しますが、日本列島は比較的新しい地質であるため「日本ではダイヤモンドは採れない」というのが定説でした。今回の発見はその説を覆すもので、今後ほかの地域でも見つかるかもしれませんね。
まとめ
- 世界一高価な宝石はレッドダイヤモンド
- ハリー・ウィンストンはアメリカの博物館に大量のカラーダイヤモンド寄贈した
- インドでは階級によって着けていいダイヤモンドの色が決まっていた
- ダイヤモンドの中でブルーダイヤモンドだけが電気を通す
- ダイヤモンドの価値はマーケティング戦略で作られた
- 地球で一番硬い鉱物はロンズデーライト
- ダイヤモンドは音の伝達速度が速い
- 世界最古のダイヤモンドは32億年前のもの
- ダイヤモンドの内包物で地球誕生の謎を解き明かすことができる
- 日本の愛媛県四国中央市でダイヤモンドが見つかった
ダイヤモンドは、美しさだけでなく、驚きの性質や数々のエピソードを秘めた特別な存在です。知れば知るほど、その魅力と奥深さに惹き込まれていきますね。普段何気なく目にするダイヤモンドにも、実はたくさんの物語が隠れているのかもしれません。ぜひ、これからもダイヤモンドの世界を楽しんでみてください。
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