
近年、ジュエリー市場ではカラーストーンの人気が急上昇しており、その価格も高騰し続けています。昨年も同様の記事を執筆しましたが、その傾向はさらに強まっているのが現状です。特に高品質なカラーストーンは、投資対象としての価値も高まり、宝石愛好家やコレクターの間で熱い注目を集めています。
今回は2025年に注目される宝石やカラーの傾向、価格上昇の背景について詳しく解説していきます。
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ダイヤモンドよりもカラーストーンがシェアを拡大
ダイヤモンドは依然としてジュエリーの売上の大半を占めていますが、投資家やコレクターの間ではカラーストーンを資産として持つという選択が増えているようです。一般消費者もカラーストーンを好む傾向が強くなっており、カラーストーンのシェアはますます拡大しつつあります。
投資家やコレクターの間ではコロンビア産エメラルド、サファイア、ルビーの三大貴石が最も人気で、その希少性の高さと需要の高まりから価格が下落することはないようです。その他にもパライバトルマリン、ブラックオパール、スピネル、ガーネットなどは高級ジュエリーブランドや独立系デザイナーでの取り扱いも増え、一般消費者からの注目が高くなっています。
また、ブライダル市場でもカラーストーンがシェアを拡大しています。国際的な宝飾企業ネットワーク「ラパポート」の記事によれば、ブライダル市場においてもカラーストーンの人気が拡大しており、2024年の統計ではカラーストーンの婚約指輪の市場シェアが15%に上昇したとあります。個性を求めるカップルが増えており、オリジナリティを重視した婚約指輪の選択肢としてカラーストーンが選ばれるケースが増えているようですよ。
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価格上昇が止まらないカラーストーン
カラーストーンの需要増加に伴い価格の高騰も顕著になっています。過去10年間で10~20%以上の価格上昇が見られ、特に2020年以降のコロナ禍では急騰しました。これを書いている私自身、長くジュエリーの卸業に携わっている中で顕著な値上がり様子に驚きを感じることも多かったです。鉱山主から仕入れ商品を見せてもらっても、同じ宝石でも1年前と今では価格が明らかに違っていることもありました。
また、この価格高騰は上質な一部の宝石だけでなく、中~低クオリティの石にも広がっています。中でも、パライバトルマリンなどの人気レアストーンは中〜低クオリティでも非常に値段が高くなっています。ただし高品質な石ほど価格の上昇が顕著で、今後も大幅な上昇が続くと予想されます。
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色石のシェア拡大と価格上昇の要因は?
カラーストーンの価格上昇にはさまざまな要因が絡んでいます。その一つが採掘労働者の減少と採掘コストの上昇、そして輸送コストの上昇です。さらに一部の産地では採掘活動の制約が強まり、供給量が制限されていることもあります。ジェムワールド・インターナショナル社の社長スチュアート・ロバートソン氏は、カラーストーンの需要は年々高まっているものの、生産量の伸びが追いついておらず、供給が限られている状態が続いていると指摘しています。
また、ダイヤモンド市場の不安定化もカラーストーンの需要増加につながっています。ロシア産ダイヤモンドに対する国際的な制裁問題や、ラボグロウンダイヤモンド(合成ダイヤモンド)が広まったことにより、従来の天然ダイヤモンド市場が揺らいでいるのが現状です。そのため、相対的にカラーストーンに注目が集まっているようです。
2025年ツーソンジェムショーでの傾向
毎年開催される世界最大級の宝石展示会「ツーソンジェムショー」では、その年の宝石市場のトレンドが見えてきます。2025年で特に注目されたのが、無処理のルビー、サファイア、エメラルド、パパラチャサファイアやピンク・紫系のサファイア、ルベライトやパライバトルマリンです。どれも元々人気がある宝石ですが、供給量の少なさもあり人気が過熱しているようですね。また、ムーンストーンも人気が再燃しており多くのバイヤーの関心を集めていたようです。
ブライダル市場では2~3カラットサイズのカラーストーン婚約指輪の需要が拡大しているようです。2〜3ctの宝石はカラーストーンの美しさを十分に楽しめるサイズ感でありながら、指にはめた時にバランスが取りやすい大きさが特徴。ジュエリーに仕立てるサイズとして丁度良いサイズ感なのです。知り合いの鉱山主が言うには、このサイズの宝石は需要がより高くなり、手に入りにくいそうですよ。
2025年注目すべきカラーストーン
宝石のトレンドはアパレルのように目まぐるしく変化するわけではありませんが、なだらかに人気の移り変わりがあるように思います。また、人が生み出すトレンドだけでなく、採掘量が増えたり新しい鉱山が見つかるなどして一時的なブームが生まれることもあります。
宝石市場の場合、ルビーの価格が高騰すると代替品として同色のスピネルが、スピネルの価格が上昇すると、ガーネットなど同様の色を持つその他の石の需要も増加し、結果として全体の価格が上昇する傾向があります。
宝石業界が注目する色石は「緑」
引用:Cuprian Liddicoatite Tourmaline
2025年に最も人気が出る宝石は何でしょうか?海外ディーラーの間では、2025年に最も人気が出るカラーは「緑」でほぼ一致していているようです。中でもグリーントルマリンは入手しやすく手頃な価格のため、今後も人気が上がり続けると予想されています。
また、デザイナーの間では緑のカプリアントルマリン(Cuprian tourmaline)の変種にも注目が集まっているようです。カプリアンとは銅を含むトルマリンを指す用語で、最も有名な変種はブラジルのパライバ州で見つかるネオン感満載の「ウィンデックスブルートルマリン」です。
ただし、パライバトルマリンも価格が高騰しており供給も不足していることから、同じネオン感を持ちながらも、より手頃な価格のグリーンサファイアも注目されています。
緑といえば、日本では2025年のトレンドカラーとして「ホライゾングリーン」が発表されました。ホライゾングリーンとは空の青と海のエメラルドグリーンが溶け合い、どこまでもつながる水平線の色なのだそうですよ。グリーントルマリンならば青味がかったグリーンも比較的見つけやすく、透明度も高いものが手に入りやすいです。
関連記事:2025年トレンドカラーは?近い色の宝石を9つ紹介
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モンタナ産サファイア
緑の宝石の人気とともに需要が高まっているのが、グリーンのサファイアとブルーグリーンのサファイア、そして「モンタナサファイア」です。アメリカのモンタナ州で採掘されるモンタナサファイア は青や緑を基調としたデニムブルーが特徴です。
特に青緑のティールカラーやバイカラーのものがバイヤーの間で人気を集めています。ティールカラーは2023年のツーソンジェムショーで注目されていたカラーなので、過去2年間で徐々に需要が高まってきたことが分かります。人気が衰える気配はないようなので、今後も宝石市場では要注目の宝石となるでしょう。
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スピネル
ルビーやサファイアの価格上昇により代替品としてスピネルへの関心が高まっています。というのも、スピネルは屈折率や着色原因などの特徴がルビーやサファイアととてもよく似ており、同じような色のものは区別するのが難しい場合もあるほどです。
引用:Tsavorite Garnet and Mahenge Red Spinel、Gray Spinel: A New Trend in Colored Stones
その他にも、タンザニアのマヘンゲ(Mahenge)から産出するネオンピンクの「マヘンゲスピネル」、ベトナム産の鮮やかな青色が美しい「コバルトスピネル」、くすみカラーの「ラベンダースピネル」や「グレースピネル」などがコレクターに注目されており、スピネルの価格を押し上げているようです。スピネルは供給が少ない宝石のため、需要の増加を反映し価格が高騰しています。
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鮮やかなオレンジやブラウン
引用:A Sparkling Outlook for the 2025 Gem Market
2024年から鮮やかなオレンジカラーが人気を集めており、2025年もその傾向が続いています。オレンジやブラウンのジルコン、イエロークリソベリル、インペリアルトパーズやスペサルティンガーネットなどです。中でも、濃いオレンジ色の「ファンタガーネット(スペサルティン)」や、赤茶色のインペリアルトパーズは今後も人気が続きそうです。
なお、ブラウンはパントンが発表した「カラー・オブ・ザ・イヤー2025」の色でもあります。パントンにより選定された「モカ・ムース」は控えめで落ち着いた雰囲気のあるブラウンです。
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まとめ
- 資産になるコロンビア産エメラルド、サファイア、ルビーの三大貴石が最も人気
- 次点でパライバトルマリン、ブラックオパール、スピネル、ガーネット
- 海外ディーラーが予想する2025年注目のカラーは「緑」続いて「オレンジ」
- 中でもグリーントルマリンは今後も人気が上がり続けると予想
- 青緑のティールカラーやバイカラーのモンタナサファイア
- ネオンピンクのマヘンゲスピネル、青色のコバルトスピネル、ラベンダーやグレーのスピネル
- 濃いオレンジのスペサルティンガーネットや、赤茶色のインペリアルトパーズ
2025年の宝石市場ではカラーストーンの人気がさらに拡大していますが、生産量の伸びが追いつかず供給が限られている状態です。カラーストーンの価格は過去10年間で10~20%以上も上昇しており、この高騰は上質な一部の宝石だけでなく中~低クオリティの石にもみられるようになりました。
カラーストーンの価格は今後も上昇傾向が続くと予測されているため、もし条件に合う石が見つかった場合は購入を見送らない方がよいかもしれません。特にカラーストーンのトレンドは目まぐるしく変化するものではないため、来年になれば価格が落ち着くという可能性は低いでしょう。
今回は2025年に注目される宝石やカラーの傾向、そして価格上昇の背景について解説しました。宝石の仕入れや購入、または売却の際に参考にしてみてください。
参考資料
Rapaport:A Sparkling Outlook for the 2025 Gem Market
Rapaport:Buyers Optimistic Despite Light Traffic at Tucson Gem Shows
National Jeweler:Colored Stone Market Update: Tracking Industry Trends in Tucson
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